その日、新八は買い物から帰ってくる道沿いで
黒い煙と半壊した建物、そして黒い制服の団体を目にした。

・・・またか・・・

既に大江戸名物になりそうなこの光景に、新八は呆れ半分で
目をやっていると、黒い団体の中からヒョコリと見慣れた顔が
出てきた。

「あ、新八君!こんにちは〜、買出しの帰り?」

いい物ゲット出来た?ニコニコと笑いながらこちらに近付いてくる
山崎に、新八も挨拶を返すと、持っていた袋を軽く上げた。

「えぇ、無事タイムサービス品をゲット出来ました。
・・・所でこれは・・・」

そう言って目の前の建物に目をやると、山崎が苦笑を浮かべ、
頭を掻いた。

「いや〜、桂がこの辺に出没するって情報があってね?
はってたら本当に現れて・・・」

「じゃあこれ・・・」

桂さんが?と目を見開く新八に、山崎は深く溜息を零すと、

「捕まえようと沖田隊長がバズーカふっ飛ばしました」

と言ってカクリと肩を落とした。
それを聞き、新八は頬を引き攣らせる。

テロリストより街を破壊してどうすんだよ、
対テロ組織。

そんな事を思うが、それこそ今更なので、もう突っ込まない。
その代わり、気になっていた事を山崎に尋ねた。

「で、捕まえられたんですか?」

「い〜や、相変わらずすばしっこいヤツでしてねィ。
アソコで平然としてまさァ」

何時の間に近くに来ていたのか、沖田が飄々とした表情でバズーカを
背負い、遠くの方で幾分黒焦げになりながら隊士達に指示を飛ばしいてる
土方を指差した。


「・・・て、アンタは一体誰を捕まえる気なんですか」

「そりゃ〜勿論桂でさァ。土方さんは捕まえるより
し止めたいなんでねィ」

人生、常に一石二鳥狙いでさァ。そう言う沖田に、山崎と新八は
揃って息を吐いた。

「なんでィ。一応今日は本気で狙ったんですぜィ?
試してみたい事もあったんでねィ」

「それはどっちを・・・て、まぁいいです。なんか答え、
判りすぎてるんで」

聞きかけて止める新八に、隣の山崎も頷く。
そしてもう一つの部分に気付き、新八は首を傾げた。

「って、試したい事ってなんですか?」

そう聞くと、沖田は一瞬目を見開き、次にニヤリと口元を上げた。










「ただいま帰りました〜」

荷物を抱え万事屋へと戻ると、見慣れない履物が玄関にあるのを見つけた。

まさか依頼人!!?

逸る心を押さえ、居間へと行ってみると、ソコには依頼人とは
真逆の人物
がソファに座っていた。

「おぅ、お帰り〜」

ダルそうにソファに座り、片手を挙げて新八を迎える銀時と、

「お帰り、新八君」

銀時とは反対のソファに座り、頭をこちらに向けてくる指名手配犯、桂。

新八は何か言いたくなったが、言葉にする前にそれは溜息へと変わり、
大きく肩を落とすだけとなった。

もう突っ込むだけ、無駄なような気がする。

新八は荷物を抱えなおすと、今お茶入れますね。 と告げて
台所へと向った。






「見ましたよ、桂さん。また派手にやりましたね〜」

お茶を桂の前に出しながらそう告げると、銀時が僅かに眉を寄せた。

「何よ、またなんかやったのか、お前」

「いや、実際やったのは真選組ですけどねι」

桂は入れてもらったお茶に一口、口をつけると重々しく頷いた。

「その通りだ。全く、こっちは普通に散歩をしていただけだと言うのに
急にバズーカを撃ってきてな」

「・・・おい、新八。この場合どっから突っ込んどくべき?」

「流していきましょう。
けど結構な爆発だったみたいなのに・・・汚れ一つないですね」

「ふっ・・・あれきしの事で無様な姿を晒す訳がなかろう」

「既にお前の頭が無様な事になってっから気にすんな。
ってかいっその事、その頭も無様にアフロってこい」

「無様とはどう言うことだ!!それを言うならお前の頭は
常に無様だろうが!!」


「ばっ!俺のはなぁ、少しだけやんちゃなだけですぅ。
少しぐらい反抗期をやっといた方が、将来的にいい子になるんですぅ。
それで言ったらお前はアレだな。
いつか新聞に載るような子になるな、絶対」

「いや、もう桂さん、新聞に載りまくってますからね?」

と言うか・・・新八はそう言うと、じっと桂を見詰めた。
その視線に気付いた桂が、少しだけ眉を上げる。

「どうかしたか?」

桂の問い掛けに、新八は自分がじっと桂を見詰めていた事に気付き、
慌てて手を振り、謝罪の言葉を出し、恥ずかしそうに
笑みを浮かべた。

「えっと・・・ある話を聞いちゃいまして・・・
で、ちょっと気になっちゃって・・・」

新八の言葉に、銀時と桂が首を傾げる。
そして視線で続きを促すと、新八は言い難そうに言葉を続けた。

「なんか噂になってるみたいなんですよ。ほら、桂さんとか
神出鬼没じゃないですか、だからその・・・」

「その?」

「えっと・・・なんか桂さんの髪を触ると、
将来禿げない
・・・とか、キューティクルが復活するとか・・・」

段々と小さくなっていく新八の言葉に、桂は呆け、銀時は
盛大に笑った。

「な・・おまっ!それ、都市伝説並みのお呪いじゃねぇか」

そう言いながら身を乗り出し、桂の肩を勢い良く叩く銀時。
桂はそれを振りほどくと、ソファから立ち上がった。

「ってさり気なく髪を触るな、銀時ぃぃ!!!」

「あ?触ってません〜、ちょっと触れただけですぅ。
だってアレよ?お前ヅラよ?
そんなお呪い、効くわけねぇだろうが。
って事でアレだ。念の為髪一本寄越せ。
寧ろワサっと寄越せ」


「思いっきり信じとるではないか!!
大体なんなんだ、その噂は!!」

憤る桂に、新八は苦笑すると、あくまで噂なんですけどね。と言い、
視線をチラリと上にあげた。

「あとは・・・高杉さんを見ると色気が増す・・・とか、
その着物の柄にある蝶を触ると妊娠確実!・・・とか。」

新八の言葉を聞き、銀時は立ち上がると力強く新八の腕を
掴み、桂へと視線を向けた。

「よし!ヅラ、今すぐ高杉の居場所を教えろ!
新八にベッタベタ触らせるから!!」


「ちょ!!なんで僕が触らなきゃいけないんですか!!」

「いや、銀さんはいいんだけどね?やっぱり既成事実作っちゃった方が
話が進めやすいというか?」

「だからなんの話ぃぃぃ!!?
どんな風に僕の将来進めさせる気ですか!!」

「その前に誰がそんな話を流しているのだ!!
高杉は兎も角、俺はそんなUMA的な存在ではないぞ!!」

「テメーは違っても、何時も一緒に居るヤツが
既にUMAだ。

そんな事より高杉だよ、高杉!!早く居場所調べて来い!!」

新八を引っ張る銀時に、頑張って踏ん張る新八。
そしてそんな二人に詰め寄る桂。

騒々しい万事屋に、真選組が押し寄せてくるまであと少し・・・










「・・・そう言えばもう一つ噂があるんですよ。
真選組が歩いた場所には草一本生えないってやつ・・・」

買い物帰りに見た建物よりはマシ・・・といった状態の万事屋で、
ポツリと新八が呟いた。
それを聞き、銀時が肩を落とす。

「・・・それ、噂でもなんでもねぇだろ。てかどうすんだよ。
ヅラのヤツにまだ高杉の居場所、聞いてねぇってのによぉ」

「まだ言うかコノヤロー!!!!」

「あ、それとも手っ取り早くチャレンジし続けてみる?」


「ぎゃ〜!!お巡りさん、戻ってきてぇぇぇ!!!」
















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えーっと・・・キリリクでも何でもないんですが・・・。
太門さんがよかったらどうぞwと言って下さったので・・・。
本当に遠慮なく掻っ攫って参りました(自重ぉおぉおぉぉおおぉっ!!!)
だって!!UMAなんですもの!!!都市伝説なんですもの!!!!
面白いんですものぉおおぉおおぉぉおぉっ!!!!!(おぃいぃぃいっ!!!)
ホント、何時も何時も構って下さってありがとうございます・・・っ!!!
師匠と呼んでイイですか?むしろ女神と呼んで・・・っ!!!(殴)
本当に、何時でも蒼月に遠慮なく何かリクして下さいませ・・・っ!!!
ありがとうございましたぁあぁぁぁぁぁあ!!!キャ━゚ .゚ヾ(*゚▽゚*)ノ゚ .゚━ッ!!!!