それが正しい姿です
・・・やっぱ、おかしくね?
既に下の店も静まり返った夜更け。
銀時は一人部屋の中、ソファに座り込んで闇の先を見詰め・・・
・・・いや、正しくは新八達が寝ている和室を睨んでいた。
「今日は泊まってくアルカ?」
何時もの帰る時間になっても、その素振りを見せない新八に
神楽は不思議そうに首を傾げた。
「あぁ、そう言えば神楽ちゃん遊びに行ってていなかったっけ」
夕飯の少し前に姉である妙から、今日は友人を泊めるから・・・
と言う電話があったのだ。
だから今日は泊まってくね。と言う新八に、神楽はフーンと答えたものの、
僅かに嬉しそうに口元が緩んだのを、銀時は見た。
「ま、アレだ。そう言う訳だからオマエはさっさと寝て
何があっても起きてくるな。
起きたとしても布団から出てくんな、
オマエにはまだ早い。」
「何がだよ」
「判ったネ。」
銀時の言葉にツッコミを入れようとした新八だったが、
それとほぼ同時に素直に頷く神楽に、ポカリと口を開いた。
「え?ちょ、神楽ちゃん?」
「おいおい何だよ、漸く子供としての立場を理解しましたか?
よし、判った。お前の協力は無駄にはしねぇ。
弟と妹、どっちが欲しいんだ?」
「いや、意味が判らないですからね?
と言うか銀さんの思考回路が判りませんからね?
アンタは弟云々の前に常識を欲しがって下さい」
「両方欲しいけど、天パ成分はいらないから遠慮しとくネ」
「大丈夫だ、子供にこんな重荷は
背負わせねぇって心に決めてるから。
だからそんな遠慮はすんな。俺達・・・家族だろ?」
「いや、そんないいお話的な事言われても違いますからね?
根本的に色々と大々的に間違ってますからね?」
って言うか神楽ちゃんも何言ってんのっ!怒りからか照れからか・・・
多分照れだな、うん。まぁそんな感じで顔を赤く染めながら
新八が言えば、神楽は不思議そうに首を傾げた。
「だから早く寝るって話ネ。ほら、新八もさっさと寝る支度するヨロシ」
「え?だってまだそんな時間じゃない・・・ってそうじゃなくてっ!」
神楽に急かされ、慌てている新八を見て、俺はニンマリと口元を上げた。
だってこれ、アレじゃね?
神楽公認ってこたぁ、今夜は色々やっても邪魔が入らねぇって事だろ?
弟も妹も作り放題って事だろ?
うわ〜、ヤバクね?それってヤバクね?
普通に幸せ満喫じゃん。
色んな意味で天国気分じゃん!?
いや、何時もの制限アリな感じでってのもいいけどさ、
プレイみたいで。
でもやっぱりこう・・・普通にまったり朝までコースってのも
やってみたかったんだよね〜。
何時もの無理矢理ぐったり朝までコースじゃなくて。
良い子に育ったな、神楽。等としみじみと思っていると、
新八の態度に焦れた神楽が ガーッ と唸りながら新八の手を
引き、そのまま和室へと放り込んだ。
サービス精神満載だなぁ、おい。
「ったく、グダグダ煩いネ!さっさと支度して川の字で寝るアル!」
「「・・・・は?」」
叫ばれた言葉に、俺と新八の声が重なった。
「折角のお泊りネ。皆で寝るのがヨロシ」
ニコニコと笑って言う神楽に、呆然とする俺の視線の先で
思いっきり胸を撫で下ろし、ホッとしている新八が見えた。
いやいや、違うから。
そこは残念そうな困ったような顔をして、突拍子も無い事言い出した
娘を嗜める所だからね?新ちゃん。
「そっか〜、そうだよね、うん。
折角だし、川の字しようか?」
「おぅ!そうすれば寒さも吹き飛ぶネ」
「いやいやいやいや、ちょっと待て、お前ら」
既に三人で寝る事が決定の様にはしゃぐ二人に、俺は片手を挙げて
待ったを掛けた。
「なんですか、銀さん」
「や、だってアレだよ?
流石の銀さんも、神楽の前で公開プレイは・・・」
「銀さん、公開処刑が希望ならそう言って下さい。
誰の前だろうと決行させて頂きますから」
にっこりと笑ってそう告げてくる新八は、まさに天使でした。
お迎え的な。
すみません、ちょっと雰囲気につられてはしゃいじゃいました。
あ〜ったく、仕方ねぇなぁ。
ま、神楽は一度寝れば滅多に起きる事の無い良い子だから、
その時を狙って・・・
と、大きく溜息を吐いて俺も二人に続こうと足を踏み出したが、
何故かポスンという感触が胸元へと寄越された。
見ればそれは、何時も使っている俺の枕で・・・
「あぁ?」
「定春、早く来るヨロシ。
三人で川の字ヨ」
神楽に呼ばれ、渡された枕を抱え首を傾げている俺の横を
のしのしと定春が歩いていく。
・・・って・・・あれ?
「じゃあ銀さん、お休みなさい」
「お休みヨ〜」
「おう、お休み〜・・・じゃねぇよっ!」
そう言って和室の襖を閉めようとする二人に、俺は慌てて近付いた。
「どうしたネ、もう川の字は完成ヨ?」
銀ちゃんの入る隙間はないネ。と至って普通の事の様に断言する
神楽に、いやいやいや。 と頭を振る。
「ここは普通俺、新ちゃん、オマエで川の字だろうが。
なんで銀さんを省いて定春投入!?」
「だって除け者にしたら定春が可哀想ヨ」
「俺の方が可哀想だろうがっ!!!
ちょ、マジもういいから。普通に行こうぜ?普通に」
「だから普通に新八と私と定春ネ。
邪魔してんじゃねぇぞ、天パ。
無理矢理入り込んで折角の川の字を
跳ね散らかすつもりアルカ!?」
「そんな気は更々ねぇよっ!
天パか?天パの事言ってんのか、コノヤロー。
大体無理矢理って・・・坂田家の坂田の意味、
判ってますぅぅ!!?」
和室の入り口で言い合う俺達に、まぁまぁ。と言う新八の声が掛かった。
見れば苦笑を浮かべている一人の天使。
あぁ、やっぱり頼りになるのはオマエだけだよ。
言ってやって、ガツンと言ってやって。
もう銀さんが居ないと眠れない体ですって!
期待を込めて言葉の続きを待っていると、新八はそっと神楽の横を通り、
俺の前までやって来た。
そしてにっこりと微笑み、渡される毛布。
・・・・毛布?
「大人なんですから、我慢して下さいね」
「いやいやいやいや。え?あのちょ・・・えぇ!?
違うよね?ここは違うよね、言うべき言葉も相手もぉ!?
ってか大人だからこそ我慢できないものがっ!」
そう言った瞬間、新八の手がガッと伸び喉仏を捕まれた。
「ちなみに僕はまだ子供だから、
我慢出来なくても仕方ないと思いません?」
何が!!?
と聞きたかったが、それを言ったら最後だと、
目の前のお迎えの天使の目が物語っていたので止めておいた。
空気がギリギリ読める男で良かった、銀さん。
無言で頷く俺を見て、漸く新八の手が離れて行く。
普段新八とはずっと触れ合っていたいと思っている俺だが、
時と場合があると言う事を思い知った瞬間だ。
・・・だが、やはり何か納得出来ない。
俺は枕と毛布を抱き締めたまま、じっとりと二人を見詰めていると、
神楽がこれ見よがしに大きく息を吐いた。
「仕方ないアルネ・・・」
その言葉に、きらりと目を輝かせる。
よし、諦めなくて良かったよ、俺。
これはアレだよね、入れてくれる感じの前振りだよね?
「銀ちゃん・・・特別に入れてあげるネ、川の字」
その言葉に内心ガッツポーズを取るものの、全力でそれを隠し、
顎に手を当てて新八達に視線を向ける。
やっぱり、一応大人としてのポーズもつけとかないとね。
・・・遅すぎとかじゃないから、多分。
何事も遅すぎるなんて事、ないからね!?
「あ?あ〜・・・でもなぁ、定春が可哀想なんだろ?
それをどけてってのはなぁ・・・あ、でもやっぱりお前等だけだと
バランス悪いし?やるなら完璧目指さないといけねぇしな、うん。」
渋々と言った感じで神楽の言葉を受け入れると、コクリと
笑顔で頷く神楽が見えた。
あぁ、やっぱりオマエは良い子だったよ、神楽。
オマエならきっと、朝になって川の字が少し変化してても
見逃してくれるよな、きっと。
「だから銀ちゃんは『の字』を担当するヨロシ」
「ってどんな担当ぉぉぉ!!!!?」
ホッと胸を撫で下ろし、和室へと足を踏み出そうとした俺に
そんな言葉がかけられ、抱えていた枕と毛布を床へと叩きつけた。
「完璧を目指さないといけないって言ったのは銀ちゃんネ。
川の部分はもう完成してるから、それ以外をやるヨロシ」
「その完成部分を変更しろよ。
ってか出来ないから、絶対出来ないから、一人『の字』」
「パーツ分解すれば全然平気ヨ」
「俺が平気じゃねぇよ、全然。
死亡フラグ完成じゃねぇかぁぁ!!!!」
「なら諦めるヨロシ」
そう言うと、神楽は新八共々和室の中へと入り、襖を閉めてしまった。
慌ててそれを追い襖に手を掛けた俺だったが、直後に
「分解・・・手伝うカ?」
と言う声が中から聞こえ、素直に手を引かせて貰った。
うん、空気読める男だからね?銀さん。
・・・ギリギリだけど。
で・・・だ。
一応神楽が寝静まってしまった後なら分解も何もないだろう・・・と
時間を置いて、こっそり川の字に参加しようとしたのだが・・・
普通に寝相で分解されそうになりました。
それはもう、実は起きてました〜・・・と言われても
納得するような的確さだった。
や、違うからね?あれはあくまで寝相だから、寝相。
そうでなきゃ、分解寸前まで銀さんの事、ボコったりしないから。
仲良し家族だからね?坂田家は。
特に子供は寝相が悪いってのがお約束だから。
や〜、参ったなぁ、寝てる時も元気があって。
え?違うよ?泣いてる訳じゃないよ?
これ欠伸だから。欠伸したら出てきただけだから。
だから全然平気・・・
「だけど納得できねぇってぇのっ!!!」
と、再びソファから立ち上がった銀時は、その後
再び分解寸前まで追いやられ、部屋の隅で伸びたまま
朝を向かえる事となるのであった。
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太門さんの所が三万打が間近だった時、何時も通り日参したら三万打踏みましたっ!!!O(≧▽≦)O ワーイ♪
思わず、カウンターをSSで撮ったからね私(笑)
んで、速攻太門さんにメール送って、証拠品添付とか阿呆な事しました(爆死)
真の坂田家の川の字いいなぁ〜ww
ものっそ和みます(鬼)