ご注意!!
この名前変換小説はネタとして一部、土閃・閃土と取れる表現が含まれています。
あくまでネタです。そんな事実は微塵もございません。
無理っ!!受け付けないっ!!と仰る方は、速やかに窓をお閉じになって下さい。
上記注意事項を無視した苦情は、一切受け付けませんので!!
人の噂も七十五日と申しますが・・・せめて三十日位に縮まりません?
買ったばかりの着物を包んだ風呂敷を胸に抱いて、
は少し浮かれたように早足で歩を進めていた。
一目惚れと言うに相応しい着物に、早く帰ってゆっくり帯や帯紐・・・その他の小物を合わせたく仕方がなかったのだ。
(お父さんに買って貰った山吹色のも似合いそうだし。若草色の帯も悪くないかも)
脳裏に、持っている帯と抱えている着物を思い描いて、
はふふっと楽しそうな笑い声を控えめに零す。
早く帰ろう!!と足元も確認せずに踏み出せば、歩道に敷き詰められていたタイルが劣化して浮き上がっていたらしく、ガツンッと音を立てて下駄の先が引っ掛かった。
「きゃっ!?」
ガクンッと前のめりに倒れる身体を支えようとしたが、しっかりと風呂敷を抱えていたせいか、咄嗟に手が前に出ない。
さらに運の悪い事に目の前には、すでに止んでは居るが午前中に降っていた雨で出来た水溜り。
(嘘ぉおぉおぉっ!?)
内心絶叫を上げながら、
はぎゅっと両目を閉じた。
その時。
ぐんっと前から何かに上半身を支えられた。
「あっぶねぇー」
間近で聞こえた声に目を開き、着地点になる筈だった水溜りが未だ遠いままな事に、えっ?えっ?と、脳裏に疑問符を浮かべていれば。
「ちゃんと立てるか?」
と、再び間近で声が聞こえた。
思わず声のした方に顔を向ければ、見知らぬ少年が直ぐ傍に居る。
えぇ!?と目を瞬かせて
が自分の身体を見下ろせば、風呂敷を抱える両腕の上から、少年の物らしい腕が
の身体を支えていた。
どうやら、転び掛けた所を、少年に片腕に抱き留められる形で助けられたらしい。
「あ、あのっ!!すみません!!ありがとうございます!!」
慌ててお礼の言葉を綴り身体を起こそうとした
だったが、左足の裏が下駄の台の上を滑った感触に、二度目の悲鳴を上げた。
「おっと!!」
後ろに転びそうになったのを、今度は逆の腕で背中から抱き留められ事無きを得る。
立て続けのハプニングに、
の心臓はバクバクと不規則な鼓動を刻んだ。
「慌てなくて良いから」
「重ね重ねすみません・・・」
何処か呆れた感のある少年の声に
は真っ赤になりながらも大人しく従い、ゆっくりと体勢を整える。
ちゃんと立ったかを問われ、それに頷けばそっと背中を支えていた腕が除けられた。
「あぁ、前緒が切れたんだな」
「え?」
もう一度きちんとお礼を言い直そうとした
よりも早く、少年は足元に視線を向けて呟く。
も釣られたように視線を落とし、あっと小さく声を上げた。
確かに、左の下駄の前緒が切れている。
少しだけ左足を上げれば、足の甲に鼻緒が引っ掛かる物の、前緒が切れている為にパカリパカリと下駄が揺れた。
「嘘ぉ・・・」
これでは歩いて帰る事も侭ならない。
気に入った着物を購入した事で上がっていた
のテンションが、一気に下がったのは言うまでも無いだろう。
どうしよう、どうしようと焦る
を他所に、不意に少年が身体を屈めた。
「左足、上げな」
「え?」
意味が分からず目を瞬かせる
に、少年が早くと急かす。
戸惑いながらも頷けば、さっと素早い動作で下駄を脱がされた。
片手に下駄持ったまま
の左側に移動した少年は、ちょいちょいと自分の右腕を指差す。
「腕、掴んでて良いよ」
下駄を脱がされた事で、足袋だけになった左足をそのまま地面に突けるのは戸惑われ、右足だけで身体を支えていた為にフラフラとする
を見かねたらしい。
「あ、あの・・・じゃあ、お言葉に甘えて遠慮なく・・・」
抱えていた風呂敷を片腕に抱え直し、
は左手で少年の右腕に触れた。
それに少年は、んっと小さく頷くと腰の後ろを探って手拭いを取り出す。
手と歯を使って器用に手拭いを細く裂くと、こよりを作り鼻緒を挿げ替えた。
最後に鼻緒に指を掛けて、ぐっぐっと二、三度前緒を引く。
「うっし・・・こんなもんだろ」
そう呟くか早いか、少年は再び身を屈めて持っていた下駄を
の足元に置いた。
履くように促され、
は頷くとそっと下駄を履く。
「きつくないか?」
「いえ、丁度良いです。何から何まで、本当にありがとうございます」
「どう致しまして」
少年の腕から手を離し、風呂敷を両腕に抱え直した
は深々と頭を下げた。
照れ臭そうに笑う少年に、
もにこりと笑い返す。
「じゃあ、気を付けてな」
「あ、はい。あ、あの!!手拭い弁償します!!」
「へ?あぁ・・・別に良いよ。困った時はお互い様ってヤツだし」
「でもっ!!」
立ち去ろうとする少年に
は慌てて声を掛けるが、さらりと交わされた。
それでは申し訳ないと更に言い募ろうとするが、悪いけど用があるんだと苦笑いを浮かべられては引かざるを得ない。
それじゃと走り出した少年に。
「あのっ!!本当にありがとうございました!!」
せめてもう一度とお礼の言葉をその背に投げ掛ければ、少しだけ振り返って、軽く手を上げて応えられる。
瞬く間に見えなくなった背中に、あっと小さく声を上げて
は肩を落とした。
「せめて名前位聞いて置きなさいよ、お馬鹿」
「ですよねぇー・・・」
最近様子が可笑しいからと寺子屋での授業が終わった後、
は幼馴染で親友の
に、某ファーストフード店に引っ張られて来た。
其処で、数日前にあった出来事を語り終えればそう切り捨てられて、
はガクンッと肩を落す。
「ホント、何で名前聞かなかったんだろー。私の馬鹿ぁ」
本当に信じられないとテーブルに突っ伏す
に、
は慰めるようにポンポンっと軽く頭を叩いてやった。
「って言うか、今時一目惚れとかあるんだねぇー」
「
ちゃんだって、同じ事されたら絶対一目惚れするもん・・・」
「そんなにカッコ良かったの?」
「カッコ良かった!!地毛かどうか分かんないけど銀髪で、左前髪の所に黒のメッシュが入ってるのっ!!
目の色も左右違くて、紅と・・・多分黒?で!!」
「ちょっと待って
」
ガバリと起き上がって力説を始める
に、
が待ったを掛ける。
「え?何?」
「もしかしてそれで、やや吊り目気味の、ちょっと中性っぽい顔立ちの男の子?」
「何で分かったの?」
の言葉に不思議そうに目を瞬かせる
に、今度は
が肩を落とす。
「何で分かったのって・・・。
、アンタねぇ・・・。
私等の寺子屋だけじゃなくて、かぶき町に住んでる同年代の女の子の中では有名だよ?」
「え?嘘っ!?」
「嘘じゃなくてホント。『万事屋銀ちゃん』の長男、坂田閃時君って言ったらかなり有名。
万事屋って、平たく言うと何でも屋さんってヤツで、親とかが其処に依頼して知り合ったって子とか。
ほら、かぶき町って夜の町って言われてるけど昼間だって性質の悪いの居るじゃない?
そう言うのに絡まれてた所を助けて貰ったって子、意外と多いよ?」
「あ、いいな。助けて貰ったとか羨ましい」
「いや、アンタも助けて貰ってんじゃない」
真面目な顔でそう呟く
に間髪入れず突っ込んで、
は溜息を吐く。
あ、そっかそっかと照れる
に、お馬鹿とさらに突っ込んで
は続けて溜息を吐いた。
「でもさぁー。そうなるとかなり厳しいよねー。閃時君の事、狙ってる子多いらしいし・・・」
「モテそうだもんねぇー・・・」
あぁぁあぁ・・・と、再びテーブルに懐く
に、
は苦笑う。
「まぁ、何はともあれ・・・。先ず一番にしなきゃいけないのは仲良くなる事じゃない?」
「だよねぇー」
「お礼の手拭い、持ち歩いてるんでしょ?」
「うん、何時ばったり会っても良いように」
ゴソゴソと手提げの中を探り、可愛らしい包装紙で包んだ物を見せる。
それに、よしっと
は一つ頷き、立ち上がった。
「今から行くわよ!!」
「はぃっ!?」
「善は急げって言うからね!!ほら、
!!」
「えぇええぇぇっ!?マジですか!?」
「大マジです」
何やら気合の入っている
に押し切られて、
はうぅ・・・っと小さく唸りながら立ち上がった。
それから二人は先ずは万事屋に向かった。
しかしその途中、人通りの無い道に差し掛かった時、お目当ての人物を発見する。
それも・・・。
かの有名な真選組の隊服に身を包んだ人物と、抱き合っている所を。
一瞬呆気に取られた二人だったが、慌てて物陰に身を潜めるとそっとその様子を伺う。
距離がまだかなりある為、何を話しているかは分からないが、妙に親密なその雰囲気に二人は顔を見合わせた。
そして、
があっと小さく声を上げる。
「あれ・・・真選組の鬼の副長だよ」
「え?そうなの?」
「今、思い出したんだけど・・・。あの二人って、デキてるんじゃないか?って噂が在ったわ」
「嘘っ!?」
「いや、ホント。良く一緒に居るし。二人共モテるのに特定の彼女とかいないらしいし・・・」
「それって・・・」
「「二人が付き合ってるから『彼女』は必要ないって事?」」
綺麗にハモッた言葉に、二人は思わず黄色い悲鳴を小さく上げる。
「って、いやいや。アンタも一緒になって黄色い悲鳴上げてどうすんの。
其処は、ありえないとか駄目って言うとこでしょ」
「あ、そっか。いや、でも・・・あの二人ならちょっとありじゃない?って思っちゃって・・・」
「気持ちは分からなくも無いけど。
確かに他の女の子に取られるより、年上の男の人に取られる方が何か許せるけど。
目の保養にもなるけども、あの二人のビジュアルなら」
「でしょー?って、
ちゃん!!何か動きがあった!!」
「え?どれどれ?」
コソコソと物陰から二人が顔を出せば、抱擁は終わったのかお互い幾らか距離を取っている。
暫く何やら言葉を交わし、鬼の副長こと土方が笑みを浮かべて徐に閃時の頭を撫でた。
それに閃時も嬉しそうに笑い頷く。
最後にまた言葉を交わして、お互い別々の方向へと歩き出した。
「うん・・・何て言うか・・・。やっぱ付き合ってるよね、あの雰囲気は」
「だよね・・・。私何か割り込めない雰囲気だよね・・・」
「
・・・」
何やら勝手に納得して落ち込む
に、同じく勝手に納得した
が慰めるように肩を叩く。
膝を抱えて肩を落す
に、
は何と言ってやれば分からなかった。
が、近付いて来る人の気配に気付いて
の肩を揺する。
「
!!閃時君、こっちに来てる!!」
「うー・・・。うん!!よしっ!!」
その言葉に小さく唸った後、
は一つ気合を入れて勢い良く立ち上がった。
どうするのかと見守る
に、大丈夫と頷いて見せて、
は近付いて来る閃時に向かって一歩踏み出す。
「あ、あの!!閃時君!!」
「えっ?」
突然声を掛けられた形になった閃時は、きょとりと目を瞬かせ立ち止まる。
小さく首を傾げた後、あっと声を上げてにこりと笑みを浮かべた。
「あれから、問題無く帰れたか?」
「覚えて・・・」
「家業柄、不特定多数の人間と顔合わせるから人の顔覚えるの得意何だ」
そう言って笑う閃時に。
数日前、しかも数分程度の間だけ遣り取りをした自分を覚えていてくれた事に、
は感動する。
「それで?今日はどうかした?」
「あ、はいっ!!」
コトリと首を傾げて不思議そうに問われ、
は慌てて持っていた手提げから、包装紙に包んだ手拭いを取り出した。
「あの・・・手拭いなんですけど、よかったら」
「え?あー・・・ホント、別に気にしなくて良いのに」
「あの時、閃時君に助けて貰えなかったら如何して良いか分からなくて私、きっと泣いてました。
だから、せめてものお礼なんですっ!!是非受け取って下さい!!」
懸命に差し出されるそれに、あーっと曖昧な声を零し、それならと閃時は漸く受け取る。
「態々、さんきゅな」
「いいえ。私こそ、本当にありがとうございました。それで・・・」
「ん?」
何やら続くらしい言葉に、閃時は首を傾げて待った。
一回二回と深呼吸をして、何かを決意したように顔を上げた時の
の瞳の強さに、え?え?っと閃時がたじろぐ。
「あのっ!!」
「あ、はい」
「私、応援してますから!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぃ?」
「世間の目とか厳しいかと思いますけど頑張って下さい!!
二人で幸せになって下さいね!?」
「えっ?はっ?」
「それじゃっ!!」
胸の前で両の拳を握り突然そう力説したかと思えば、最後にペコリと頭を下げて
は走り去る。
物陰に隠れていた
も慌てて其処から飛び出し、あ、私も応援してますから!!二人で幸せになって下さい!!と閃時に告げて、ちょっとー!!待ってよ
!!と
を追って走り去って行った。
「いや・・・誰と?」
ポツンと一人残された閃時が呟いた言葉に、答える者は一人も居らず。
ただ、塀の上に居た猫が一匹、くぁっと大きな欠伸を零した。
一方その頃・・・。
「
!!アンタって子は・・・っ!!
惚れた男の為に身を引く何て、何時の間にそんな良い女になってたのよー!!」
「いいの・・・私の幸せよりも、閃時君が幸せならっ!!その相手が例え、あの鬼の副長であってもっ!!」
「
!!アンタ、本当に良い女っ!!」
「ありがとうっ!!
ちゃんっ!!」
等と、熱く言葉を交わし、
と
は女同士の友情を深めていた・・・。
大いなる勘違いの下に。
さてさて、時を遡る事数十分前。
先程の人通りの無い道で、閃時と土方がばったりと遭遇した。
閃時は、依頼の荷運びが終了した帰り道。
土方は、徹夜で張り込みをし、その交代で屯所に戻る途中であった。
「うっわぁー・・・土方さん、目の下物凄い事になってる。
人相の悪さが通常の二倍になってんよ?」
「煩ぇコノヤロー。徹夜で張り込み明け何だよ、ほっとけ」
「あーそれで髭も剃ってないんだ。公僕は睡眠も侭ならなくて大変だねー」
「そう言うオメェは何時も元気だな、オイ。いっそ腹立つ位に」
「そりゃ、昨日もたっぷり八時間睡眠取ったかんね」
羨ましいだろー?とニヤニヤと笑う閃時に、唯でさえ沸点の低い土方がそれにプラスして睡眠不足だった事もあり、即報復を決行しても不思議は無い。
徐に閃時の二の腕を掴んで引っ張ると、おぉ!?と慌てるのを無視してピタリとお互いの頬同士を触れ合わせた。
チクリと頬に刺さる髭に、ひっ!?と短い悲鳴を閃時が上げた事に、にやぁっと性質の悪い笑みを浮かべ。
ジョリジョリジョリ・・・。
と、音を立てて髭を擦り付けた。
「にぎゃぁあああぁぁぁっ!?」
「ほーれほーれ」
「ふぎゃぁあぁあぁぁっ!!ちょっ!?止めれぇえぇぇぇっ!!
キモイッ!!それ、マジでキモイィイイィイィィッ!!」
いーやーっ!!と悲鳴を上げる閃時を無視して、さらにジョリジョリと土方は髭を擦り付ける。
素面でやればお互いにダメージがある攻撃ではあるが、睡眠不足もピークに来ている土方にはノーダメージであった。
「やーめーろーやーっ!!」
うぞぞっ!!と音でもしそうな勢いで両腕と言わず全身に鳥肌を立てる閃時は、何とかして土方を引き剥がそうと辛うじて自由な肘から下を動かし、隊服の背の部分を掴んで引っ張る。
近くで見れば、全力で閃時が嫌がっているのは明白ではあるが、遠目で二人の遣り取りが聞こえていないのであれば・・・。
抱き合っているように見えなくも無い。
まさか二人も、この嫌がらせを誰かに見られているとは微塵にも思っていなかっただろう。
それによって、盛大な勘違いをされると言う事も。
「だぁあぁぁぁっ!!ホント、勘弁してっ!!」
漸く土方を引き剥がす事に成功した閃時は、ささっと素早く距離を取った。
少しでも早く髭を擦り付けられた感触を振り払おうとしているのか、ゴシゴシと手の甲で頬を擦る。
「ざまぁみろ」
「じゃねぇよマジでっ!!沖田さんバリの嫌がらせすんなっ!!」
「総悟と一緒にだけはすんな、マジで」
心底嫌そうに顔を顰める土方に、ったくもーっと最後に強く頬を擦って手を下ろした。
「あ、そうだ。来週姉さんが地球に戻って来るんだって。
そん時、坂田家と近藤家揃って飯食うんだけど、土方さんと沖田さんもどうかって母さんが言ってた」
今ではそう無いが、小さい頃には土方だけでなく銀時や近藤。
もっと言えば、攘夷組や真選組隊士に頻繁にやられていた事もあって、ある程度耐性のあった閃時は直ぐに思考を切り替え、そう土方に話し掛けた。
「あーじゃあ、時間があれば顔出すって言っといてくれや。そん時、余裕があったら稽古付けてやるよ」
土方もまた思考を切り替えて言葉を返すと、にっと笑って閃時の頭を撫でる。
多少なりとも稽古を期待していた閃時は、嬉しそうに笑って頷いた。
これがまた、大いなる勘違いを引き出すとは知らずに。
真相とは、大抵こんな物である。
それからまた数日後・・・。
「よぉ、閃時」
「あ、土方さん。こんちは」
「おう。・・・ってか、どうした?妙に難しい顔して」
ばったり遭遇など日常茶飯事な二人が、またしてもばったりと遭遇した。
それもその筈。
お互いの行動範囲がほぼ同じなのだから、何の不思議も無い。
「それがさ・・・。最近、寺子屋の同級生とか依頼先の同い年位の娘にさぁー・・・。
『応援してます!!』って良く言われるんだよねぇー」
「そりゃ、『仕事頑張って下さいね』って言う意味じゃねぇのか?」
「俺もそうだとは思うんだけどね?その後に、かなり高い確率で。
『幸せにして貰って下さいねっ!!』
って、付くのは何でだと思う?」
まったくもって意味が分からないと眉を寄せる閃時に土方も首を傾げ、顎に手を当てる。
暫し二人でうーんっと唸っていたが、何か合点が行ったのか、土方がニヤリと笑った。
「おいおい、閃時。水臭ぇじゃねぇか」
「え?」
「オメェ、何時の間に彼女なんか出来たんだ?それも、年上みてぇだしよ」
「はぁ!?何だそれっ!?何でこの流れでそう言う話しになんのっ!?」
「だってそうだろ?『応援してます』ってのは『彼女との仲を応援してます』で。
『幸せにして貰って下さいね』ってのは、相手が年上だからじゃねぇのか?」
「いや、マジで何でそんな話しになってんだよ・・・」
カクリと肩を落す様子にニヤニヤと笑みを浮かべながら、土方はガシッと左腕を閃時の首に掛ける。
「白を切り通すんじゃねぇよ。ほら、どんな女か言ってみ?」
「だから、ちっげぇよ!!俺に彼女いねぇの何て土方さんが良く分かってんだろうがっ!?」
どんだけ頻繁に顔合わせてんだっ!!と早口で捲くし立て、肩を組まれた状態でがぅっ!!と閃時が土方に吼えた次の瞬間。
背後から黄色い悲鳴が上がり、二人は思わずビクリと肩を震わせた。
何事か!?と、二人が背後を振り返れば、閃時と同年代だろう数人の少女達が、きゃあきゃあと嬉しそうな悲鳴を上げながら走り去る姿。
「え?今の何?」
「・・・有名人でも居たんじゃねぇのか?」
まさか先程の閃時の台詞が、現在閃時の同年代の少女達の間で真しやかに囁かれている『ある噂』を後押ししたとは、二人は知る由も無い。
何が何やらと、二人が首を傾げ目を瞬かせていると。
「多串ぃいいぃいぃっ!!テメェコノヤロォオオォオォォッ!!」
と、そんな雄叫びを上げながら銀時が降って沸いた。
閃時の首に掛かる腕を切り落とさんとばかりに振り下ろされる木刀に、土方と閃時は慌てて左右に飛び退く。
「行き成り何すんだ天パァアァァァァッ!!」
「それはこっちの台詞だぁあぁあぁっ!!」
初っ端から本気で斬り掛かって来る銀時に、土方も刀を抜いて応戦する。
確かに、銀時と土方は仲が悪い。
所謂同属嫌悪なのか、顔を合わせれば直ぐに言い合いになり、最終的にお互いの獲物を抜く事は珍しくない。
しかし、行き成り斬り掛かる事は滅多に無い。
ならばこの状況は一体何だろうかと、閃時はぽかんっと間の抜けた表情を晒した。
「家の長男を、テメェみたいな瞳孔全開ニコチン中毒なマヨラーにはやらぁあぁぁぁぁんっ!!」
「何の話しぃいいぃぃぃっ!?」
「閃時ぃいいぃぃっ!!」
「え?何?」
「父ちゃん、オメェを嫁に行かすつもりはねぇかんねぇえぇぇえぇっ!?」
「行くかぁあぁぁぁぁっ!!何で俺が嫁になんざ行かなきゃなんねぇんだよっ!?
百歩譲って婿になら行くわぁあぁぁあぁぁぁっ!!」
土方との斬り合いの最中そう叫ぶ銀時に、肩を怒らせて閃時が叫び返す。
「真っ昼間から酔っ払ってんのか馬鹿親父ぃいぃいいぃぃっ!!」
と、全身全霊の力を込めて、閃時が銀時にドロップキックをお見舞いするのはこの後直ぐの事。
そして・・・。
真選組の鬼の副長こと、土方十四郎と。
万事屋銀ちゃんの長男こと、坂田閃時が。
付き合っている。
と、言う根も葉も無い噂を二人が知り。
「「ありえねぇええぇぇぇえぇぇぇっ!!」」
等と叫ぶのは、まだ暫く後の事・・・。
噂の出所は言わずもがな・・・である。
人の噂も七十五日と申しますが。
この噂が何時消えるかは・・・誰にも予測は出来ぬかと。
おあとが宜しくないようですが、このお話しはこの辺で。
後書き
『『密かに好きだった相手(閃時)には既に恋人(誤解)が!?ううん、いいの。それが例え鬼の副長と呼ばれる人との禁断の愛(大いなる誤解)でも、貴方が幸せなら私はそれで!!』ってな感じの勘違い&自己完結な女の子の話』な、リクでした!!
この内容だけで、リク主様のギャグセンスっぱねぇ!!って事が分かって頂けると思います!!
我が師匠、太門さんです☆(満面の笑み)
これに応えなきゃ弟子じゃねぇ!!(勝手に何をほざいてんだ貴様)
と、闘志を燃やし、そして・・・。
全力でふざけた結果がこれです☆
反省も後悔もしてません!!(せめてどっちかはしろよ)
最初は、ヒロイン一人だけの大いなる勘違い&自己完結だったんですが、それだと話が膨らまなかったのでもう一人追加(爆)
書いてる間、ホント楽しかったです。何故なら。
二人には不幸と不運が似合うから。
と、言い切ります(鬼)
笑って許して下さると幸いですペコm(_ _;m)三(m;_ _)mペコ
太門様
師匠ぉおぉおぉおぉぉっ!!頂いたリクはこんな感じにぶっ飛んだんですけどぉおぉおぉっ!!(笑)
もうね、太門さんのセンスには脱帽です。
本気でね?リクを見た瞬間、パソの前で盛大に噴出しましたから私ww
で、最近長男の不運具合が親父に似て来たとの事なので。
全力で不運を背負わしました☆(爽やか笑顔)
最後の部分で噂を知ったらしい親父を登場させてしまいましたが、どうですかね?
もう一個のverの方がよかったですか?(笑)
少しでも楽しんで頂ければ幸いです!!
何時も企画参加ありがとうございますっ!!`ィ(゜∀゜*∩
2009.12.02