041.雨宿り




















042.布団

2009年01月24日〜2009年03月06日拍手お礼小説に使用。





「こら神楽ちゃん!!せっかく干してふわふわになったのに潰れちゃうでしょ!!」
「分かってねぇナ、ぱっつぁん。干したてのふわふわ布団にダイブするのが江戸っ子ってもんだゼ」
「そんな江戸っ子聞いた事ねぇよ!!」



和室から聞こえる二人分の騒がしい声に、昼寝の為に横になっていたソファから起き上がる。
ボリボリと頭を掻きながら和室へ視線を向ければ、取り込まれたばかりの布団でゴロゴロと転がる神楽と、その様子を腰に手を当てて叱る新八の姿。
そう言えば手伝わされたっけと思い出して立ち上がった。
相変わらず、神楽は取り込まれたばかりの布団の上でゴロゴロとしていて、新八も諦めたのか残りの布団を取り込む為にベランダに出ている。



「おーおー気持ち良さそうじゃねぇか」
「ふかふかでサイコーヨ」



今度はボリボリ腹を掻きながら神楽にそう声を掛ければ、ご満悦と言った様子でにまりと笑った。
何だか羨ましくなったので、俺も遠慮なく布団にダイブする。



「ちょっとぉおぉおぉおぉっ!!銀さんまで一緒に何やってんですか!?」
「江戸っ子なもので」
「だからそんな江戸っ子聞いた事ねぇつってんだろうがぁあぁぁぁっ!!」



掛け布団を抱えて叫ぶ新八に、まぁいいじゃねぇかと布団を抱え込んだ。
ふかふかと柔らかい感触と太陽の何処か甘い香りに、神楽と同じようににまりと笑う。



「夜に堪能すればいいでしょうがー!!」
「ばっか、それだとこの仄かな温もりが堪能出来ねぇだろうがよぉ」
「そうヨー。ふかふかは夜でも堪能出来るけど、ぬくぬくは無理ヨー」



布団から引き剥がそうと新八が俺達の服を引っ張るので、二人揃ってがっちりと布団を抱え込む。



「ったくもー・・・。神楽ちゃん、自分の布団は後で持って行きなよ?」



暫し攻防を続けたが、先に諦めたのはやっぱり新八で、そんな言葉を残して和室から出て行った。
ベランダには干し切れずに、玄関前にも布団を干していたのでそれを取り込みに行ったんだろう。
その後姿に、はいヨーと返事をしながら神楽は布団を抱えたままパタパタと両足を振る。



「銀ちゃーん」



抱え込んだ布団が余りにも気持ち良くて、昼寝を再開しようとうとうと始めた時、不意に神楽に名を呼ばれた。
んー?っと適当な返事を返すと、新八みたいネと神楽が呟く。

お日様の優しい匂いが一杯するヨ。
暖かくてふかふかで、思いっきり飛び込んでも全部受け止めてくれるネ。
干したてのお布団は、新八みたいアル。

ぽつぽつとそう呟いて、くふふっと神楽は機嫌良さそうに笑った。
閉じていた目を少しだけ開けて神楽の様子を伺えば、余りの気持ち良さに我慢出来なくなったのかうとうとと船を漕いでいる。
聞こえるかどうか分からないが、そうだなと相槌を打つ。
神楽にしちゃ上出来な例えだと思いながら、もう一度目を閉じた。
トタトタと、新八の足音が近づいて来る。
きっと、ほんの少しの時間で眠りに落ちた俺達を呆れたように見た後、しょうがないなと言ってそっと掛け布団を掛けてくれるだろう。
その時は、その手を掴んで一緒に昼寝をさせてやろうと思います。アレ?作文?










END





ふかふか布団は飛び込まずにはいられません。
怒られても止めれません(笑)
2009.03.06




















043.ちょうどいい (坂田さん一家)




















044.いきもの

2009年05月01日〜2009年10月18日拍手お礼小説に使用。





忙しく家事をこなしていた新八が一休みすると言うので、じゃあぎゅってさせて?って言えば、きょとんとした表情を浮かべた後、仕方ないですねと笑う。
それにへらっと笑い返して、新八の手を取ると和室に引っ張って行く。
先に座らせた後、危ないからと先に眼鏡を取り上げて、とりあえず一回ぎゅっと抱き締める。
一回力を抜いて、今度はさっきより強めに抱き締めた。
クスクスと胸元で笑う新八に気を良くして、そのまま畳の上に仰向けに寝転がって、その上に新八の身体を乗せぎゅっと抱き締める。
背中と腰に回した腕はまだ余裕があるから、細ぇ身体に絡ませるようにしっかり巻き付けた。



「重くないんですか?」
「んー?全然〜むしろ軽い位」
「それはそれで、ちょっとムカつくんですけど・・・」



成長してないみたいでと、少しだけ拗ねたように新八が俺の首筋にぐりぐりと額を擦り付ける。
さらさらと揺れる黒髪に首筋をくすぐられて、くくっと喉の奥で笑えば、笑いで揺れる俺の身体の上に居る新八も小さく揺れた。
収まりが悪いのか、身動ぐ新八に少しだけ腕を緩めてやれば、中途半端にお互いの胸の間に折り畳まれていた両腕が外に出される。
そのまま俺の脇の下を通して、その両手で両肩の後ろを包むようにして動きは止まった。
お互いの胸が布越しにぴったりと重なり合う。
これいいな。うん、最高ー。
へらんと緩む口元を隠す為に、新八の旋毛に口唇を押し当てる。
やっぱり、新八はクスクスとくすぐったそうに笑う。
あーやべぇよ。何か泣きそう。
幸せ過ぎて泣きそうになるとか、初めてだよオイ。





あぁ、大事な奴を抱き締める事が出来る生き物でよかった・・・。










END





偶にはイチャラした結果がこれです。
2009.10.18




















045.ぽろぽろ (坂田さん一家)










046.お気に入り




















047.やわらかい





夢を見た。
出来ればもう見たくないと願いながら、それでも繰り返すのは自分自身に忘れるなと言い聞かせる為か。

命をこの手で奪った事。
命をこの手で守れなかった事。

辛ぇな、苦しいな。
目覚める度にそう思う。
抱えた片膝に額を押し付けて、重い重い溜息を吐いた。
カタリと響いた音にはっと顔を上げれば其処に居るのは新八で、今の顔を見られたくなくてそっと目を逸らす。

頼むから、今は放って置いてくれ。

言葉にしないくせに、其処から動かない新八に苛立ちを覚えた。

早く早く、どっかに行ってくれ。

ぎりっと強く噛み過ぎた奥歯が軋む。
同時に軋むのは古びた畳。
キシリキシリと音を立て、近付いて来る気配にぐっと拳を握った。



「銀さん」



呟きに似た呼び掛けは聞こえない振りをした。
キシリ。また軋む畳に新八が手の届く其処まで近付いて来たのが分かる。
ギリギリ。強く握り過ぎたせいか、深爪気味に関わらず爪が掌に食い込む。

痛い?いや、分からない。

肩に触れた新八の手を、叩き落したい衝動に駆られる。
駄目だ。それだけは駄目だ。傷付けたくはないのだ。

だから頼む新八。これ以上は近付くな。

息を吐くだけで、拒絶の言葉が飛び出しそうでぐぅっと喉が鳴った。



「銀さん」



もう一度、新八が俺を呼ぶ。
ぐっと両目を閉じれば、感じるのは温かな両腕の感触。
ふわりと柔らかく抱き締められて、間近に感じる新八の体温。
何でオメェは放って置いてくれねぇんだ。
何でオメェは今一番欲しい物を容易く俺に与えるんだ。

痛ぇんだよ。
辛ぇんだよ。
苦しくて如何して良いのか分からねぇんだ。

気付けば、縋り付くように新八の身体に腕を回していた。
力の加減も忘れて縋り付けば、ミシリと骨が軋む。
それでも解かれない両腕に、確かに俺は安堵した。
どうして俺は、近付くなと願ったのか。
鼻の奥がツンッと痛む。目の奥がジンッと熱を帯びる。



「しん、ぱち・・・」
「はい、銀さん」
「新八・・・」
「はい、銀さん。僕は此処に居ます」



アンタが来るなと言っても、僕はアンタに寄り添います。
アンタが触れるなと言っても、僕はアンタに触れます。
人一倍寂しがり屋の癖に強がるアンタの傍に、僕以外の誰が居られるもんか。

にやり、不敵に笑った新八は。
言葉とは裏腹な慈愛に満ちた口付けを一つ、俺の額に落した。
それは、欲を伴う事の決して無い。



母親が幼子に送る、柔らかなそれに似ていた。











END





10月10日〜10月11日の早朝に掛けて開催されていた絵茶会に参加した時に作成致しました。
もうね、絵師さん達の素晴らし過ぎる絵に触発されて、今なら出来る気がするとか叫んで断りを入れてから製作突入。
ものすんごい早さで書き上げましたよ、私(笑)
この時お世話になった方に捧げさせて頂きます!!お心当たりのある方!!どうぞお持ち帰り下さいませ!!
2009.10.11(午前ってか深夜?)作成
2009.10.12UP




















048.天の川










049.ありがとう




















050.ふたり

2009年05月01日〜2009年10月18日拍手お礼小説に使用。





銀さんの上に重なるようにして抱き締められてる。
重いんじゃないかと思って聞いたら、むしろ軽い位だって言われた。
成長期何ですけどねコノヤロー。
でもまぁ・・・いいか、別に。
体重が軽いおかげでこうやってられるし・・・。
目を閉じて銀さんの首筋に擦り寄る。
ぴったり重なったお互いの胸。
布越しに、僕とは少しリズムの違う銀さんの鼓動を右胸に感じる。
きっと、銀さんも右胸に僕の鼓動を感じてる。



あぁ・・・心臓が左胸に一個でよかった。



両胸にあったら、こうやって鼓動を感じる事が出来なかっただろうから。
一個だから知る事の出来る、命の音。
きっと、生き物に心臓が一個しかないのは、大切な誰かと抱き合った時に、別々のリズムを刻む命の音を両胸で感じる為。
左胸は自分の、右胸は大切なその人の。
今こうして、僕を抱き締めてくれる銀さんもそう感じてくれていたらいいのに。





二人だから知る事の出来る命の音が、とても愛しい・・・。










END





某アーティストの曲の一部から思い浮かびました。
分かった方は、是非お友達になって下さい!!(馬鹿)
2009.10.18