初めの第一歩!!!










Let's Enjoy School Life!!  一日目










まだ肌寒い日が続くとある日、一つの高校の門を緊張した面持ちで沢山の少年少女達が通り抜ける。
本日は大江戸高等学校―通称・江戸高の合格発表の日。
張り出された掲示板の前で歓喜の声を上げる者、沈鬱な表情を浮かべて無言でその場を去る者。
それぞれが齎された結果を受け止める中、また人垣の中に少年と少女が混じった。
黒髪に眼鏡をした少年は皺が寄るほどに受験票を握り締め、必死で番号を探していた。
桃色の髪の少女は拗ねたように口唇を尖らせて、最初から探す素振りすら見せない。



「あ!神楽ちゃん!!神楽ちゃん見て!!」
「何アルか・・・どうせ私の番号は・・・」
「あるよ!!ほら見て!!」



握り締めていたせいでくしゃくしゃになった受験票を広げて、少年は満面の笑みで掲示板の一箇所を指差す。
広げられた受験票には少年の名前ではなく『夜兎神楽』と少女の名が印字されていた。
少年の言葉に少女―神楽は目を丸くさせると、少年からそれを奪い取ってその指先を目で辿る。
掲示板の番号を確認して、手元に視線を落とす。
そしてもう一度掲示板に視線を戻すと、緩々と表情を緩めて、最後には満面の笑みに変えた。



「あったヨー!!私受かったネ!!」
「そうだよ!!やったぁ!!」



感激の余り飛びついて来た神楽の小さな身体を受け止めて、少年は明るい声を上げる。



「喜ぶのはちょっと待ちなせィ。自分のは確認したんですかィ?」



きゃあきゃあと歓声を上げる二人を止めたのは、二人の後ろからのそりと現れた金茶の髪の少年。
その言葉にぴたりと歓声を止ませ、黒髪の少年は慌てて自分の分を探し始めた。
先程と同じように握り締められる紙には『志村新八』と印字されている。
繰り返し手元と掲示板に視線を向けて、ほぉっと深く息を吐き出すと二人に向かってにっこりと笑った。



「僕も合格!!」



ぐっと小さくガッツポーズを見せる新八に、二人はニヒッと表情を綻ばせる。



「さすがは眼鏡ヨ!!」
「眼鏡だけありまさァ」
「眼鏡関係ねぇよ!!」



眼鏡眼鏡と連呼する二人に勢い良く突っ込みを入れて、新八は神楽を促して掲示板から幾らか離れた所に設置された簡易テントの方へと足を向けた。
其処には、机の前に500単位で数字が書かれ数人の教師が待っている。
そこで、受験票と引き換えに入学式までに記入しなくてはいけない書類の詰まった封筒と交換するのだ。
勿論、其処に並ぶ事が出来るのは合格者だけなので、並ぶ者達の表情は晴れやかである。
総悟は一足先にスポーツ推薦で合格が決っているので、必要な書類は手元にあり並ぶ必要は無い。
合格者の列の邪魔にならない位置に下がると、二人が書類を受け取るのを待った。
それから約五分後。
書類を大事そうに抱えて笑顔で駆け寄って来た二人に、総悟は猫のように目を細めた。










歓声を上げた合格発表の日からあっと言う間に日は過ぎて、入学式の日を迎える。



「忘れ物はなし・・・っと」



真新しい学生服に身を包んで新八は自室で書類の確認を済ませると、これまた真新しいショルダーバックに封筒と布製のペンケースを仕舞い込んだ。
肩紐を肩に掛けて部屋を出ると、二つ隣の部屋のドアをノックした。
直ぐに中から元気な返事が聞こえ、内側からドアが開けられる。
中から現れたのは、やはり真新しいセーラー服に身を包んだ神楽。
神楽の父の仕事の関係で、神楽は数年前から志村宅で居候をしている為だ。



「新八!!どうアルか?」



忘れ物は無い?と言い掛けた新八を遮って、神楽はクルリとその場で一回転して見せる。
ひらりと揺れたスカートの裾からは、チラリと黒いスパッツが見えた。
スカートだろうが何だろうがお構い無しに飛び跳ねる神楽に、新八の姉・妙がちゃんとスカートの下に履くように懇々と言い聞かせた成果である。



「すごく良く似合うよ」



青い瞳で早く感想を言えとばかりに見上げられ、新八は小さく笑うと素直に誉めた。
それに気を良くしたのか、神楽は当然ヨ!!と小さな胸を張る。
そんな神楽にクスクスと小さく笑い声上げながら、少しだけ歪んでいたリボンを直してやると、今度こそ忘れ物はないかと尋ねた。
多分大丈夫ネと頷きながら、神楽は片手に持っていたリュックを開けて中身を見せる。
中には、書類の詰まった茶封筒と新八とは色違いだがデザインはお揃いのペンケース。
後は、コロコロと酢昆布と印字された紅く細長い箱が幾つか入っていた。
書類は、昨夜も確認しているのでそれから出し入れをしていない限り大丈夫だろう。
何処かウキウキと弾む気持ちを抱えて、二人は玄関に向かった。
靴を履き替えて顔を見合わせると、手を繋いで二人同時にせーのと敷居を跨ぐ。



「「高校生活第一歩!!」」



足を付けると同時に声を揃えて叫ぶと、二人は楽しげに声を上げて笑った。















後書き

3Zじゃない学パラ連載開始!!主要キャラはほぼ全員学生です。
ある程度進んだら、設定表を上げます!!'`ィ(゚∀゚*∩
えー・・・この連載は、基本的に蒼月の高校時代をモデルにやって行こうと思ってます。
学校行事とか、学校内の悪事(爆)とかはほぼ実話だと思って下さい(爆死)
気の向くままに連載して行こうと思いますので、どれだけ長くなるか不明。
一応、銀→新から銀新になるまでを予定してますが、のらりくらりと続きそうです(笑)
そんな感じですが、お付き合い下さいませ!!!!!(*- -)(*_ _)ペコリ
2008.10.23